あたしには、太ちゃんの目から流れるものが見えた。

あの負けず嫌いな太ちゃんの涙…初めて見た。

太ちゃんがいなくなってから十分以上沈黙が続く教室。

「……ん?」

床に黒い携帯電話が落ちていた。

これ……太ちゃんのだ。

「晴奈ちゃん?」

「あっ、ごめんね」

「大丈夫だよ、返事決まった?」

携帯……ないと困るよね?