「やっぱり横尾くんには勝てないかぁー」
「2位でもすげーだろ」
「太ちゃん57位とかびみょー!」
「うるせぇよ、昔から勉強だけは晴奈の方が上なんだよな」
「だけはって何よ!!」
太ちゃん、わかってないなぁ。あたしが勉強頑張るのは太ちゃんに褒めてほしいからなのに。
「あっ、あとひとつ晴奈に負けるのあった」
「なになに?」
「変顔……ぷぷっ」
「太ちゃーん?」
「晴奈の変な顔にはさすがの俺も負けるわ」
「太ちゃん!!」
「こえー顔!」
にかっと笑いながら逃げる太ちゃんを追いかける。
「俺に追い付くわけねーじゃん」
「なんだとー!」
「こら!!そこのふたり、ろうかを走るな!!」
職員室の前を通った時教頭先生に怒られてしまった。
「「すっ、すいません」」
「以後、気を付けなさい」
教頭先生はスタスタといなくなった。
「そろそろ、帰るか」
「うん…あっ、アニメ始まっちゃう!」
太ちゃんの手をとり、自宅へとダッシュで帰る。
つないだ手を見て微笑む太輔に晴奈は気付かない。
自分に着き、晴奈がつないだ手をぱっと放すと太輔が寂しそうな顔をしたのにも晴奈は気が付かなかった。
バタン!!
勢いよく部屋のドアを開けてカバンを放り投げ、急いでまた玄関に向かう。
「お母さーん!太ちゃん家行ってくるねー」
自分の家から出て、隣の家へと急ぐ。
ピンポン ピンポン
ピンポン ピンポン
【二階堂】と書かれた表札の横にあるインターホンを何度も何度も鳴らす