「ごめん横尾くん、帰るのは太ちゃんとって決めてるから」

「そっか、残念だな」

「ごめんね」

「気にしないで♪」

「ふっ…晴奈ー、早く帰るぞ」

太ちゃんがなぜか勝ち誇ったように笑っている。

「うんっ……あっ!!」

「どした?」

「教室に忘れ物してきた!」

「おい、待っててやるから取りに行ってこい」

「うんっ!」

晴奈がいなくなり、太輔と慎二がふたりきりになった。

「君があの太ちゃんか」

「は?」

「長谷川さん、いっつも松永さんと君の話してるんだよね」

「あっそ」

ふたりの間が沈黙になる。

「横尾くんてさぁ、晴奈好きなわけ?」

「好きだよ」