こんな機会はもう滅多にないだろう。……多分。
もっとお話ししたいな。
そう思った私は、少し話題を考えてから口を開く。
「あ、ねぇ、佐藤君って花好きなの?」
「別に……?」
「そうなの? よく花瓶の水換えてるから好きなのかと」
「へぇ……」
「えー、なにその反応」
「……そんなこと、知ってたのかと思って」
「うん、知ってるよ。だって……」
“いつも見てるから。”
そう言いそうになって、思わず口を閉じる。
そういえば私、学校ではいつも佐藤君を見てたような……。
思い返せば、確かによく目で追ってしまっていた。
小さな良いことを当たり前のように行う佐藤君が、いつの間にか気になっていたんだ。