樹里は自分のことモテないと言い張るけど、会社では密かに人気がある。

皆、接点がないから近づけないだけなんだ。
ましてや、今はオレとつき合っているから更に近づけないってわけだ。


樹里と出会ったのは、半年以上前。

オレが腹の激痛でうずくまっていたら、樹里が声をかけてくれた。

『大丈夫ですか?』
『今、救急車呼びますね』
樹里は親切に救急車まで呼んでくれたんだ。

その時は顔を見る余裕なんてなかった。