「…嬉しい」

目頭が熱くなる。
亮二、あたしの誕生日覚えてたなんて思いもしなかったよ。

「おいっ!? これぐらいで泣くなよ」

「だって…」

胸がいっぱいで声にならない。

「ほら。着替えてこいよ」

亮二に言われて。
寝室で私服に着替えて、リビングに戻る。

「樹里。誕生日おめでとう」

「ありがとう…」

また目頭が熱くなる。

「樹里が飲みたいって言ってた、ワインも用意したんだぞ」

「わー。本当だ。これ高いから、ボーナスまで我慢しようと思ってたのに」

「飲んでみようか」

「うん」