マスターは毎年、あたしの誕生日を祝ってくれる。
この日は、メニューにない料理と高級なワインがタダで飲み食いできる。

「今年は何作ってくれるかな?」

「樹里は27になっても色気より食い気だ」

「そうだね」

「いつになったら、色気がつくのやら」

あたしたちは笑った。

色気より食い気。
多分、ずーっと変わらないような気がする。





誕生日の日だからと言って、仕事の両が減るわけでもない。

あたしはいつも通り仕事をこなした。

そして、無事に1日を終えた。