「樹里、誕生日おめでとう」

会社の更衣室で、あかねが紙袋を差し出した。

「誕生日…」

「イヤだー。自分の誕生日も忘れてたの?」

「うん忘れてた」

そうだった。
今日はあたしの誕生日だ。

「ほら、プレゼント、受け取ってよ」

「ありがとう」

一体、何かな?

会社で開けず、家で開けることにした。


あたしとあかねは、食堂へ向かう。


あたしは紅茶。
あかねはコーヒーを飲みながら、話を始めた。


「ねぇ。誕生日のこと、佐伯は何も知らないの?」

「さぁ? 知らないかも」