「そうだね。あたしたち、一緒に住んでるから、お互いの事知ってるような気になってただけのような気がする」

「樹里にしてはいいこと言うな」

「あたしだって、年に2回くらいはいいこと言うんだよ」

2回かよ。
樹里らしいこと言うな。
そう思いながら笑った。

樹里がオレを見上げている。

視線がぶつかると、オレたちは、キスをしようとした、まさにその時。

グルルルー

樹里のお腹が盛大に鳴った。

「なんか、すごい腹減ってるみたいだな」

「うん」

当然、キスという雰囲気はなくなってしまった。