樹里がコクンと頷く。

「そっか…」

一気に緊張の糸が切れたような気持ちになる。

「ごめんね。期待させちゃって」

「いいよ」

オレはソファから立ち上がり、樹里を抱きしめた。

「亮二…?」

「彼女の過去の彼氏にビビってるような、弱い父親なんて赤ちゃんは嫌だよな」

「……」

「オレ樹里の過去も全て、受け入れられるような男にならないとな」

「それはあたしもそうだよ。亮二が遊び人だったって聞かされると、過去の事なのに悲しくなるの」

「お互いの全てを受け入れて、結婚ってするもんだろ?」