「繋ぎ止めるため?」

「そう。オレが結婚急いだのは、樹里を完全にオレのものにしたかったんだよ」

「そうだったの? あたしは亮二のものだよ」

そう言って、樹里が抱きついてきた。

「落合さんに奪われるんじゃないかって、気が気がじゃなかったよ」

「そんなふうには、見えなかったなぁ」

樹里が体を離しながら言った。

「本音はさ、樹里と落合さんがつき合ってたって聞いた時から、嫌だったんだよ」

「じゃあ、昔のことだろ? って言ってたのも、強がりみたいなもん?」