「本当、来るの遅いよ。今の今まで何やってたんだよ?」

「樹里を探してました」

「だったら、早く電話の一本くらい入れてやれよ。女が遅くまで出歩くってのは、危険と隣合わせなんだよ」

「そうですね。落合さんの言う通りです」

「言いたかったのは、それだけだ。これ以上話すと近所迷惑になるから帰れ」

そう言われて、玄関のドアを静かに閉めた。



家につく頃には、午後11時半を回っていた。

「樹里!」

家の中に入るなり、名前を呼んだ。

リビングは灯りがついていない。

寝室を覗くと、樹里はベッドの上で眠っていた。