「けっこういい時間に何の用?」

落合さんは、気だるそうに言った。

「樹里を連れ戻しにきました」

「じゅりこなら帰ったよ」

「帰った?」

「電話の話し声で目が覚めたみたいで、今日はとりあえず帰るって」

「そうですか」

「他の男に抱かれた女が家にいるかと思うと、吐き気しないか?」

「あの、落合さん。本当に樹里はここで」

「本人に聞いたら?」

「もちろん聞きますよ」

「本当のこと言うかは分からないけど」

落合さんは、ニヤッと笑った。

「樹里がいないなら帰ります。夜分遅くすみませんでした」