オレも樹里も足を止めた。

自然とつないでいた手も離れた。

「結婚、もう少し先にしないか?」

「えっ…」

樹里が目を丸くしている。

「よく考えたら、年内って急過ぎるような気がしてきて、単なる焦ってただけかなって」

「でも……赤ちゃんが出来てたらどうするの? あたし中絶なんて嫌だよ!」

「赤ちゃん…」

オレは思い出していた。
一度だけ避妊しなかった日のことを。

「その時は産んでもいい? 結婚早めてもいい?」

「もちろんだよ」