啓介は誰かに呼ばれているようで、電話を切った。


奪い返すか――


オレは更に焦りだした。

結婚を早めるくらいしか、どうしても思いつかなかった。



「樹里。オレたち年内には籍入れないか?」

翌日の日曜日。
家でゆっくりしていた、オレたち。

ソファで隣に座る樹里に話を切り出してみた。

「ね…年内?」

「ダメか?」

「ダメっていか、なんか急だから、びっくりしちゃって」