ふと、まつげをわずかに伏せた真輝さんの声が、急に低くなった。

まるで自分の過去も混ぜているような表情。

「アナタにわかる? 成長を続けるがゆえに、自分が負ける存在は次々となくなっていく。どれだけの時間をかけても、子孫がいる限り最後には、絶対者の座へ登り詰めていく。永久常勝を求める血筋。それに誇りをかけて傾倒している一二三が、アナタみたいな自覚のない腑抜けのザコに一回でも殺されてみなさい? 人外としての自意識で固められたあの子のプライドに、どれだけ生々しい傷つけると思う? どれだけの思いをさせると思う?」

「…………すごく、腹立たしいと思います」

だって昨日、実際にそう言われていたから。

純さんが言う。

「でね、だから賢一くん、君にとって一二三は今、なんだか恐ろしげな存在かもしれないけど……一二三は君を必要としてるんだよ。本人の意思とは無関係にね、君を無視できない」

「僕を、必要……?」

それは、またいったいどういう理由でだろう。

真輝さんが継ぐ。