「あの子がどれだけ、よそさまへ血族の誇りだとかを説いたとしても、それはあくまでもあの子だけの問題。ほかの誰にも関係ないわ」

「え……だったら、」

「だけどねえ」

今度は純さんが、僕の機先を制した。

「問題もあるんだよ、賢一くん。関係がないって思ってしまえば、一二三だってある程度は割りきれるんだ。だからもし、その辺にいわゆる妖怪だとかがいたとしても、一二三は無益な喧嘩を吹っ掛けたりしない。だけどね、君ばっかりは一二三も見過ごすことができないんだ。その理由、わかるだろう?」

「……」

二人に見つめられて、言われて、考えて、そして、わかった。

「……僕が、一二三さんをころ――殺し、たから……?」

こ、くん、と、真輝さんが頷いた。