「さっき話したとおり、一二三は私が捨てた東城家の誇りを背負おうとしてる。もちろんそんな行為に意味なんてついてこないけど、あの子はそれが自分の誇りだと思ってるわ。

人あらざるものが人の中に紛れる――つまり自分をごまかすことが、あの子は我慢ならない。同じように、人外としての誇りを持っていない、ただの人間に成り下がった人外を、あの子は極端なまでに侮蔑するの。

そしてアナタは、力を自覚していながら自分が人外であることすら気付いてなかったわ。それはあの子にとって信じられない、まさに存在そのものが悪だったのよ」

「そっ、そんなことを、言われても……」

人がどのように自分を認識していようと、それは個人の勝手な気がする。

そんなに一方的に一二三さんの価値観を押し付けられても、甚だ、迷惑としか言いようがなかった。

「僕は、僕ですよ。それは、その……人じゃないなんて言われて、今、すごいショックですけど……でも、明日も僕はたぶん僕のまんまです。そんなこと言われたって、僕には……」

「ええ、関係ないわ」

と、真輝さんははっきり、僕の言葉を先読みした。

しかも、賛同の語調で。