「ごめんね、賢一くん。驚いたとは思うけど、真輝は僕以外には嘘をつかないんだ。うちの一二三や真輝が鬼だっていうのも事実なら、君が人間じゃないっていうのも事実なんだ。たぶん、家の人が隠してたんだろうね。部外者でしかない僕らから教えてしまう形になって、悪かったと思うよ」

「は、あ」

目の前に提示された『自分』というものが大きすぎて、あるいは奇妙すぎて、僕は満足に反応が取れなかった。

今まで僕であると思ってきたものが、なにひとつ変わったわけじゃない。

だけど、それはすべて僕が『人間』だと思っていたからであって、まさか、『人外』だなんて夢にすら抱かなかった。

静かに、カップを戻した真輝さんが、目を眇めた。

「一二三がアナタに苛立つ理由、わかったわ」

「え」