でも、気になる。気になって、掲示板の名前をじぃ、と見つめてしまう。

「本当、なんて読むんだろ、あれ」

「カザマ・ヒフミ」

いきなり、僕らの左で声がした。それは、ほかの野次馬の声が聞こえたというわけじゃなく、明らかに僕らにかけられたものだった。

振り返った先には、僕らと同じく成績掲示板を遠巻きに見ている女子生徒がいた。

一瞬、

(――  ……)

確実に僕は、心の中も空っぽになるほど彼女見とれた。

凛と前を見つめる瞳は黒く、肩上で切り揃えられた髪も、黒い。

ウチの制服は男女ともに黒いから、肌だけが浮かび上がるように、まるでそう、粉雪をふるったように白い。

肘を抱くように腕を組んだ姿が、凛然とした印象をさらに強めていた。