「一二三は東城という家の血を引いていてね、東城は私の実家なのだけど、そこは古来から鬼を宿している一族なの」

「……鬼、ですか」

「ちなみにこれは言葉のあやじゃないよ。文字通り、人とは一線を画した、鬼そのものさ」

純さんの補足に、真輝さんが続ける。

「私の実家、東城の一族は鬼としての能力を一生涯かけて進化させ、またそれを子孫に引き継がせるの。つまり、一二三も私も、人のようでその実は鬼なのよ」

人のようで、実は鬼。

それを聞いた途端、一二三さんの殺人的な存在感がそれに帰来するものだと、ものすごくはっきり納得がいった。

「ただ、一二三はそのことにものすごく執着しているわ。さっき私と言い争った理由もそれ。私が東城の名を捨てたものだから、一二三は一族をけがしたって思ってるの。だから一二三は私の分まで、自分が鬼であろうとする意思を強く持ってるわ」

「……鬼、ですか」

と、思わず同じセリフを繰り返していた。