「ごめんね、脱線ばかりして」

と、笑みを浮かべるお父さんが、お母さんのとなりに座る。

横でお母さんが静かにコーヒーを飲んでいるのを一瞥してから、また口を開いた。

「最初に自己紹介しておこうね。僕は風間純。気付いているとは思うけど、一二三の父親だよ。こちらが僕の大切な奥さん、真輝さんだよ。一二三の母親。よろしくね」

「ど、どうも」

最後にまた微笑まれて、僕は条件反射的に小さく会釈した。

自己紹介の間、特に、純さんが真輝さんを紹介する時、二人の間の空気がとてつもなくコスモス色に和んだような気がしたのは、間違いない。

たぶん、とても仲がいいんだろう。

は、と気付き、会釈して丸まったままの背中に、力を入れる。

「あ、僕は六条って言います。六条賢一っ」

「ふふ、知ってる。一二三に話は聞いてたからね。あ、そんなにかしこまんなくても大丈夫だよ、リラックスしていこうよ、賢一くん。ほら、リラァ～ックス」

「は、はあ……あ、いえ、はいっ」

「ふふ、もっと力を抜いていいんだって」