些細な共通点のあるそれが、とてもとても、僕の目を奪った。

「なあ、幹」

「ん、なあに?」

成績掲示板に群がる野次馬の外周、隣にいる大竹幹に訊きながら、名簿の頂点にある名前を指差す。

「あれ、なんて読むんだと思う?」

「どれ?」

「あの、トップの名前」

風間一二三――フウマ・イチニサン?

(まさか、それはないよね)

否定していると、

「あのね賢一、あたしは君みたいに百メートル先の煮干しを発見できるような目はしてないんだよ?」

幹からも、遠回しな否定が入った。

つまり、僕の指している名前が、彼女には遠すぎて読み取れないらしい。