そう、もう逃げられない。

彼女に『目』をつけたのが僕なら、彼女を殺したのも僕だし、今ここに呼び出したのも、僕なのだから。

「僕が君を殺した……そうか。やっぱりあれは現実だったんだ。……でも、僕はどうやって君を?」

「今言った。お前の第三の目が、一二三を呪殺した」

(呪殺……?)

少し、腑に落ちない言葉だ。

呪殺って……つまりは、呪い殺すという意味なのだろうけど……

僕はいったいいつ、一二三さんを呪ったというのだろう。記憶にない。

そもそも僕は、呪った記憶はおろか、イメージならともかく、性格な呪い方すら知らないのだから。

五寸釘だって持ってない。

それなのに、一二三さんは僕がなにもかもをわかっていることを前提のように、詰問してくる。

「一二三こそ訊きたい。一二三を一瞬で殺すほどの呪力……お前、一体全体、何者?」

「……僕は……いや、その……」

僕は話のなにか大切な主軸を、実は理解できていないのではないかと思った。

だから上手く答えられない。

僕は――何者だろう。