「一二三へ質問する以前に、お前は一二三へ答えるべき。なぜ一二三をここへ連れてきた。なぜ一二三にか変わる。そして、そもそもお前こそが、何者か」

「っ……」

その言葉も、見ていてわかる。

すべてわかっていながら、わざと訊いている。

彼女は僕に、明確に僕の真意や興味を露呈させるつもりなんだ。

初めからわかってるものをあえて僕のほうから口外させることで、愉悦を味わう。

弱者を見下すオーラが、一二三さんからはひしひしと。

固唾を――飲み、下す。

知らず握りしめていた掌に、爪がイバラのように食い込んでいた。

一二三さんに接触したのは、僕からだ。

昨日も、そして今日も。

なら、逃げられない。

彼女の存在が僕を圧迫し、押し潰し、覆い被さってこようとも、僕は僕がここにたっている証明のために、逃げられない。