だけど、それはおかしい。ものすごくおかしい。

昨日、風間一二三が倒れていた時、そのドアはなかった。ミサイルでも突っ込まれたように、焼け焦げて、吹っ飛んでいたんだ。

なのに、そこには、昨日までと変わらない、教室のドア。

《――よくも、よくも、よくも――》

現実のなにもかもが、僕の記憶と噛み合っていない。

僕の記憶では、風間一二三は死んだはずだ。でも生きている。

僕の記憶では、教室のドアは吹っ飛んでいたはずだ。でも、なんともない。

《――よくも、よくも、よくも――》

自分の記憶が間違っているのか、それとも僕の知らないなにかが起こっているのか、はたまた、今ここにある現実は夢なのか。

わからない。わからないから、理不尽だと思うし、混乱させられる。