そもそも――と思う。

《――よくも、よくも、よくも――》

昨日彼女は、死んだじゃなかったんだろうか?

なのに、なぜ生きているんだろう?

――いや、死んでいてほしいというわけじゃない。むしろ、そんなもなかったことにしてくれたら、神様にいくらでも感謝する。

僕の思い過ごしで終わったのなら、それに越したことはない。

でも、死んでいないなら、どうして彼女は僕へ恨みの声を募らせてくるんだろう。

僕の『目』の存在に気付き、さらには意識をこちらへ叩き込んでくる、風間一二三。

《――よくも、よくも、よくも――》

ただの女子高生であるはずが、ないじゃないか。

(落ち着け。ちょっと考えてみよう、六条賢一)

言い聞かせながら、昨日起こったこと、僕の思うことを整理する。

冷静に、積み木を組むようにひとつずつ。

それくらいしか、僕には取り柄がないのだから。