† 第七節



冷や汗をたらたら流していた僕は、授業に入ってから、その量をたらたらからだらだらに増やすことになった。

《――よくも、よくも、よくも――》

「……」

《――よくも、よくも、よくも――》

(……)

《――よくも、よくも、よくも――》

無限怨嗟が響く僕の脳内。その声は、今この教室にはいない、そしてもちろん授業を受けているだろう、風間一二三さんのものだ。

彼女の声は――昨日僕がつけた『目』を逆流室、伝わってくる。

偶然的なものなんかじゃ、ない。彼女は絶対に、僕の『目』の存在に気付き、そこを経由して僕へ念波を送ってきている。

昨日も思った。そして今日も思った。もちろん、今も思う。

彼女は、何者なんだ。

頭の中では、また蛇足でしかない情報が、無意味に冷静な僕によって組み立てられる。

教科書に沿うような、あまりに『現実』の範疇でしかないその情報。

僕が真には求めていない既知の内容。

正直、僕の冷静さもこんな時ばかりは邪魔だ。