なぜかはわからない。だけど、恐ろしい。そう思った。

彼女は、もしかしたら――

  コ ト ダ マ
その言葉言葉の中に――

マ ナ ザ シ
眼光眼力の中に――

猛毒を持った不可視の蛇でも飼っているんじゃないかと思う。

さながら、僕は固まってがま汗を流す、情けない蛙といったところだ。

「ねえ、本当にどうかした? もしかして体調が悪かったりしないだろうね?」

僕と一二三さんを交互に見た幹が、そう訊ね直してくる。

また嘘をついたらどうなるだろう。

質問してきている幹よりも、その向こうで僕をじっと見据えている一二三さんの反応こそが気になって、なかなか口を開けない。