背中のほうでくくられた長い黒髪に、なんだか眠たそうに見える伏し目がちの眼差し。
触ったらつるんとしていそうな頬のラインや、ブラウスの襟から微妙に覗く鎖骨なんかが、すごく大人っぽい。
実際の歳は聞いたことがないのだけど……たぶん、二十歳ぐらいなんだろうとは思ってる。
まだ朝だからか、本の少し乱れて頬の横にちらついている髪の毛が、余計にアダルトな雰囲気を見せていた。
「うっわーやだな~、もう。賢一のスケベ。目の付け所がやらしいぞっ」
と、幹に姉さんを紹介した時の反応を思い出して、目玉焼きへ目を移した。
幹は、幼馴染みだからかなんなのか、こと女の人のことになると、妙に僕を注意するくせがある。
曰く、節制ある人間になってちょうだいとかなんとか。
姉さんがトーストにバターを塗りながら、訊いてくる。
「あったの、なにか? 優れないみたいだけど……顔色」
姉さんが倒置法で喋るのは、自分の言葉を途中で遮られないための作戦なんじゃないかと、時々思わせられる。
そしてそんな作戦をわざわざ常用するのは、姉さんの言葉はいちいち、かなり的を射ているからだと、推測している。
触ったらつるんとしていそうな頬のラインや、ブラウスの襟から微妙に覗く鎖骨なんかが、すごく大人っぽい。
実際の歳は聞いたことがないのだけど……たぶん、二十歳ぐらいなんだろうとは思ってる。
まだ朝だからか、本の少し乱れて頬の横にちらついている髪の毛が、余計にアダルトな雰囲気を見せていた。
「うっわーやだな~、もう。賢一のスケベ。目の付け所がやらしいぞっ」
と、幹に姉さんを紹介した時の反応を思い出して、目玉焼きへ目を移した。
幹は、幼馴染みだからかなんなのか、こと女の人のことになると、妙に僕を注意するくせがある。
曰く、節制ある人間になってちょうだいとかなんとか。
姉さんがトーストにバターを塗りながら、訊いてくる。
「あったの、なにか? 優れないみたいだけど……顔色」
姉さんが倒置法で喋るのは、自分の言葉を途中で遮られないための作戦なんじゃないかと、時々思わせられる。
そしてそんな作戦をわざわざ常用するのは、姉さんの言葉はいちいち、かなり的を射ているからだと、推測している。