けれど、なには、ともあれ。

姉さんがいてくれて助かっているのは事実だ。特に、袖を通したワイシャツにきちんとアイロンがかけられていることを確認する度に、いたたまれないくらいお世話になっているのを感じる。

制服に着替え、一分ほどで鞄の中身を整えて、下へ降りていく。

台所には、和よりも洋に通じる朝食が二人分、シンプルに並んでいた。

トーストとサラダと目玉焼き、そして添えられたコーヒー。

香澄姉さんの、朝の基本メニューだった。

「食べよう。さ」

「うん」

促されて、姉さんと対面の席に座る。

こうして正面から姉さんに向き合うと、いつも思う。

美人、だなと。

僕は、確かに三つ目はあるけど、一応健全な十六歳だ。

だから、女の人に惑わされることがないと言ったら、嘘になる。