† 一章



僕は今、どこにいるのだろう。

そう自問したら、正確に、

(大木市中心街北部、大木高等学校、一年棟三階の一年二組、窓側一列目、後ろから二番目の席)

と、冷静に判断する僕がいて――

でもそれは、僕の欲する答えじゃなくて。

いやそもそもが、実は僕の疑問の意図はそこにはなくて。

(僕は今、どこにいるのだろう。僕の居場所は、どこなのだろう。――わからない)

改めて自問しても、結局満足のいく答えは得られない。

いつから始めたかわからない堂々巡りの自問自答も、これで何度目か、やっぱりわからない。