† 第六節



朝の清々しさは好きだ。けど、今朝はその清々しさに、ひどく裏切られたような気がした。

目を冷ましたら僕は、六条賢一だった。昨日と、一昨日と、今までとなんら変わらない、六条賢一。

いっそ、劇的な変化が僕を襲ってくれていれば……そんなことを、ひたいに手をやりながら、思う。

机の横の窓、カーテンを抜けて水色に染まっている朝日を見ながら、僕はぼんやりと、昨日の光景を振り返った。

風間一二三が――死んだ。

たぶん。恐らく。推測だけど。死んだ。

そう思う。

脈はなかったし、無呼吸だったし、心臓も動いてなかった。

だから――死んでいたと思う。壁が吹っ飛んでいた、あの教室で。

そしてたぶん――たぶんたぶん、僕が殺した。……と思う。

まったく根拠はないし、理由も記憶もないけど、そんな気がした。

だから、劇的な変化があってくれればと、昨日眠りにつく前に祈ったんだ。

僕の中に、人以外の、獣のような精神が宿ってくれていれば――と。