いったい自分は、なにをしていたのかと、思い返す。

自らの手を見れば、そこには他者を凌辱するための爪が、象牙のように白く生えていた。

「――お、おぉおお……おおおっ、おおぉぅ……」

自分のなしたことに、震えが止まらない。

またしても、欲望と衝動のままに、人をひとり……人を、ひとり……ひとを、ひとり……ひ、と……。

「……」

自らの犯した出来事を真正面から受け止めようと、女の遺体を見、後悔した。

殺したばかりの女、その血溜まりで痙攣するからだを確認した途端、恐怖が足元から抜けていく。

代わりに、臓腑から炎のように巻き起こる衝動は、貪欲。

「ああ――あぁぁぁぁぁあ……!」

おぞましい、恐ろしい、穢らわしい――そう思わずにはいられない行為を忘れ、気が付けば金の亡者が宝石へたかるように、女の肉へ食らいついていた。

歯切れの悪い肉を口に詰め込み、咀嚼し、飲み下す。

生肉の、ぬめりぬめった、どろりとした食間と、喉越し。