女の甲高いオクターブと恐怖によるビブラートが、心を揺さぶってくる。

高揚する。

悪戯なまでの嗜虐心がどろりと喉に絡みつく。

それを、唾液とともに嚥下し、笑んだ。

「い、ひい、あ……」

腕がないせいか、バランスを取れないのだろう。

あれだけ威勢よく逃げ回っていた女が、ジャンプし損ねた蛇みたく無様に、地面へ倒れ込んだ。

赤い水分を含んだ砂利が、女の尻の下で鳴いた。

肩からの出血で、女の制服は淀んだ赤に染色されていく。

ああ、残念に。

その制服はもうきっと、着られやしない。

それは、もう使い物にならないという意味であり、ここで女が死ぬという意味でもある。

ああ、残念に。

獲物を追い詰め、見下す。

この瞬間が、すさまじい愉悦を味わえる。

強者としての立ち位置。

弱者を弄ぶ強者のみに許された、睥睨。