† エピローグ(プロローグ)



朝、起きてみれば僕は六条賢一だった。

見渡すか部屋はいつものように、机の横の窓、水色のカーテンをくぐった光で、淡く色づいている。

制服は壁にかかっているし、昨日のうちに時間割りをすませてある鞄も、机に寝ている。

昨日と、変わらない室内に、

「おっ、起きたね賢一。だけど、おはよーう」

「……え? ええっ?」

いつもはいるはずのない人物が、いた。

子供の頃からずっと知っている顔が、溌剌とした表情で僕を覗き込んでくる。

なぜ、朝から僕の部屋に、幹が……?

「さ、早く起きた起きた、香澄さんが待ってるよ」

「は、え、いや、なんで幹が僕の部屋に」

「ほぉら早くしなって」

僕の質問なんてお構いなしにパジャマのまま起こされ、階段を引っ張られる。

「おはよう、賢一」

食卓へ下りると、香澄姉さんがいつもの朝食を用意していてくれた。

昨日までとなんら変わらない、どこか夢見た瞳の姉さん。

――の横に、

「ひ、一二三さん……!?」

「おはよう、六条賢一」

冷徹な表情で、一二三さんが座っていた。