香澄姉さんはそんな僕らを少し笑ったようだった。

「飲み込まれてしまう、†に触れると。時々、存在者に影響する。たとえ触れなくても、†は。だから影響される、少なからず。願望だから、本質は。†は、導きのひとつ」

「あたしや一二三さんも†に影響されたってこと?」

小声の幹に、香澄姉さんは振り返らない。

「可能性として。随従になってる、鈴原の本質は今。私の定義だけど。たぶん、擁護だと思う、三木ちゃんは。風間さんは……」

「誇り……になるの、かな?」

「かも、しれない。†関係だから。教会が出てきたのは」

「ああ……はあ、裏はそう繋がるわけだね。ああ、ああ、それだったらなおさらのなおさら、あたし達は今回、なんでこんなに疲れちゃったのやら、ああっ」

溜め息を重複させる幹が、

「賢一っ」

「おわっ!?」

見えないまま、突然背中に乗ってくる。急だったから、僕は思いきりよろけた。

「ほら、しっかり立ってよ、賢一」

「そん、そんなこと言っても、お」

「重いって言ったら絞め殺す」

「……」