香澄姉さんは、静かに歩いていく。

僕も静かに続ける。

「それで一二三さんは僕に苛立ったと思う。だけどそれで苛立って、僕を気絶させるところまでにしておけばよかった。

考えてみれば、僕に手伝わせようってのも効率的じゃなかった。まあ結局、なんにも手伝う前に終わったんだけど……それでも、みんな中途半端だ。

一二三さんや幹がそうなら、僕も添う。好奇心や探求真は、いいところでやめておけばよかった。みんな揃って、やりたいこと、企てたことの半分までしかできなかった。

それなら最初から、半分で留めておけばよかったかなって話だよ」

「まあ、人の業なんだよ、それが」

「業?」

「そうだよ。知識の探求と一緒かな。今よりもっといい状況があるなら、それを望みたい。望むからには実行する。そういう心理が働くんじゃないかな。

で、利用するにしても、こうなればいいっていう望みを抱いてる。だから実行してしまう。結果がどちらに揺らぐか不確定なままでも」

「†……」

「え?」

突然、香澄姉さんが口を挟む。