彼女の腰についているキーホルダーのような鈴が、その歩みとともに鳴る。ちりんちりん。

その音色が続く限り、幹の姿は隠蔽される。

「結局、なんだったんだろうね」

と幹が言った。その姿は周囲には見えないから、声を聞かれて変に思われないよう、小声だ。

「あたしは賢一に、こんな世界は知ってほしくなかったんだけど、賢一はそれを望んでた。そこを一二三さんは少し利用しようとしたけど、かえってアダになった」

歩いているのは大通りだから、普通に人とすれ違う。

放課後そのまま遊んでいる制服姿の何人かとすれ違って、幹が一度言葉を切った。

ちりん。ちりん。

僕は言った。

「結局、みんな半分だったんじゃないのかな。いや、半分でよかったっていうか」

「半分?」

「うん。幹は僕に、三つ目のこととかあんまり突き詰めないでほしいって思ってたんだろ。でも、僕は知った。そこで、知るな! って否定するんじゃなくて、知ってしまった上でじゃあどうするかを考えてくれればよかったんだ」

「……」

「責めてるんじゃないよ、念のため」

「うん」