† 終節



ちりんちりん。

香澄姉さんの鈴が響く。

僕と姉さんは並んで帰宅していた。

修道衣をコートのように羽織っただけの、しかも裸足の幹が、その後ろをついてくる。

修道衣に裸足、肩掛けリュック、頬にはアザ。

そんな格好の幹が周囲に見られないよう、香澄姉さんは不可視の結界をかけているらしい。

もっとも幹にとって、服が台無しになってしまうことは珍しくないのか、ひどく平然とした表情でひたひた、アスファルトを歩いていた。

ちりんちりん。

鈴が鳴る。

姉さんが言うには、結界には種類があるらしい。

ひとつは壁、ひとつは隠れ蓑、ひとつはそれの合一、と簡単に説明してくれた。

後者になればなるほど、制御が難しいと姉さんは言う。

途中から、深く説明してもわからないだろうから、と、濁されたけれど。