幹が、一二三さんが、香澄姉さんが、真輝さんが、その時、揃って僕を見ていた。

僕の答えに、なにもかもが、かかっているかのよう。

昔、あの人は言った。

あの言葉に、僕は、今どのように返せるだろう。

僕は僕を理解する。

瞳の魔力は、けれど今は、使わない。

口にしてしまいたい答えがたくさんあって、そのどれもが、またたくさんの接続詞や説明を必要としていて――

僕は、その、たったひとつの答えを見つけるのに、軽く十数秒を費やした。

夜空が、ものすごく明るい。

いつのまにか、筋雲の向こうから満月が覗いていた。

丸い丸い満月。それはまるで瞳のよう。

僕を見ているのだろうか。いや、僕が見ているんだ。

なにを。月を。煌々と照る光は、胸の中で集約した答えに、自信を持たせてくれた。意味なんかない。けれど、異議はある。

答えた。

「僕は、六条賢一です」