僕の肩に、誰かが手を置く。

姉さんだった。不安に染まった表情は、こう言ってしまってはなんだけど、いつもの香澄姉さんに戻っていた。

「あの、よく飲み込めません、事態が。してもらえませんか、説明を」

きっと、姉さんも僕と同じように、頭がこんがらがっているんだ。

真輝さんが小さくうなずく。

「デュオ、話してあげなさい」

「あ、そこは人任せなのかな?」

「それも教会の仕事の一環でしょう」

「いいところを突くね、その通りだよ」

(この人が、くだんの教会関係者!!)

思わぬところで思わぬ人物が現れていることに、驚く。姉さんも、後ろで息を呑んでいた。

と、

「その前に、そこのお嬢さんも起こそうかな。あとになって聞いてないなんて人が出てきてもらうと、僕としても大いに面倒くさいからね」

デュオが、幹のそばへ寄る。

その指先が幹の頬に触れて、

「――」

なにか、呟いた……?