突然、真輝さんは一二三さんを地面へ叩きつけた。

瞬間、その姿が衝突時の轟音とともに消える。

違う。

真輝さんの力に耐えられなかったコンクリートが、抜けたんだ。

ゴゥン、と、ひとつ下で轟音。と思えば、さらに衝撃は連なり、ゴゥンともう一度。

余韻が、夜空へ鐘声のように流れていった。

「ひ、一二三さん!?」

慌てて真輝さんが立っていた場所に駆け寄る。

穿たれた穴は、直径三メートルほど。すぐ横にいた幹の足が、かろうじて落ちる手前だ。

そして穴の底。一二三さんを一階の廊下へ磔にした真輝さんが、いた。

すごい。

真輝さんや一二三さんは……東城の血っていうのは一生涯成長し続けるって話は聞いていたけど……だからって、一撃で校舎のコンクリートを三枚もぶち抜くほどなのか。

補強材として通されている鉄骨が、各階の廊下でちぎれているのを見ると、ぞっとした。

砕け散ったコンクリートのふちがパラパラと、雪のように真輝さんへ降り注ぐ。

一二三さんに『お仕置き』をした彼女は、黒い髪を大仰にかき揚げた。

そして一二三さんの襟首を掴み――ト、と軽く――屋上まで跳躍してきた。