ほんの一瞬、ちらりと真輝さんがこちらを向いた。

切れ長の黒い瞳が、優しそうに笑む。それはそれは、優しそうに。

けれどどうしてだろう。

その瞳は、これから死神の大鎌でも振り翳そうとしているようにも、心臓を貫く矢を放つようにも見えた。

そう――

   ヤ サ
とても矢刺しそうに。

「あ、く、ぐ、あ……」

呼吸がうまくできていないらしい一二三さんが、苦しげな声を漏らす。

けれど、真輝さんの表情は穏やかだった。

研ぎ澄まされたばかりの業物のように、あまりに冷徹な眼差し。

「一二三、お母さんとして聞いてあげるわ。許しを請うなら今よ」

「ひ、ふ――は、間違っ……な、い!」

「そう。生憎、純にはすべてお見通しだったわ。そう運命付けられていたから。アナタの供述はどうあれ、私は私なりに、もうアナタへの処遇は決めてる」

「っ……」

「お仕置きを受けてもらうわ」

言うが早いか、行うが早いかだった。