† 独節



その時、賢一は第三の目で見た。

なにもかもが一時停止した、『無』の時間を。

瞬間、繰り広げられた弾圧を。

第三の目で――不可視を、捉えていた。

記憶に、残らない、残せない、不可視を。

賢一の意思に関係なく、『目』だけが、見ていた。