叫ぶしかなかった。

「わからないけどっ! でも、一二三さんのやり方は間違ってると思う! こんなのはもう、」

「黙れぇぇぇぇぇぇええええ!!」

激昂した一二三さんの背後に、炎が形を作る。

大きな大きな大きな大きな、それは人の上半身。

ただし、ちょうど頭のところ、まるで武者鎧に合わせて被る兜のような角が二本、鋭く突き出ていた。




鬼。



その上半身が、炎の巨人として屋上を灼熱世界へ変えていた。

夜の景色があっという間に、夕刻まで巻き戻される。

紅蓮の圧巻。焦熱地獄。

「っ、大きい……!!」

香澄姉さんが苦悶の表情を浮かべた。

僕のほんの少し前で、結界がゆらゆらと波打っている。

熱波だけで、結界が破壊されようとしているのかもしれない。

そんな世界に、幹は、生身で――

幹が焼き尽くされてしまう!

「一二三さん、もう本当にや」