お前がなぜ一二三の邪魔をするそもそもお前の存在定義はなんだ大竹幹はなにをしていたか忘れたか人を食った者を狩猟することのなにが悪いなればお前はどうしてそれを邪魔するのかその後ろにいる女こそ悪なのかもしれない目を覚ませお前はどこにいる六条賢一その存在の是非を問えお前は――

「もう、やめようよ」

と、その集中攻撃をかいくぐって発せられた言葉は、その、短いものだった。

けれど、それで充分だったらしい。

一二三さんの声は、また、どこかで響いた気がしたガラスの発破音とともに、消えた。

長いように感じる、ほんの五秒ほどの、沈黙。

一二三さんの双眸が、ひたいのそれとともに、ゆっくりと閉じた。

そして、肩が、震える。

身震いしている。

嗚咽のようなものが、

「く……」

漏れていた。

「ぅ、く、ふぅ……」

一二三さんから。

それは、とてもか細くて、

「ぅ、く、ぅ……くく……――ふは、く、くく、くはひゃはははははっ、ふひゃはははははは……っ!」

泣き声じゃない、笑い声だった。