なぜお前に指図される。なぜ一二三を邪魔する。その権利があるのか、だとしたらお前は何者か。その権限を行使するだけの能力があるのか。一二三の前に立ちはだかる意味を知っているのか、お前は鬼を理解していない。この一二三を侮るな。消し炭にしてくれようか、十秒あれば貴様の消滅には事足りる。それとも首もとから掻っ捌いてくれよいか。臆するならばその軟弱な意思とともに一二三の前にひれ伏せ。お前のしていることにこそいったいなんの意味がある。こんなことなんにもならないとは思わないか。ならばこそそこを退け。瞳を閉じろ。魔力を遮断しろ。

「あ、あ、あ……」

一二三さんの瞳が、爛々と輝いている。夜叉を宿した表情が炎に照らされ、あまりになまめかしく、恐ろしい。

僕は、ああ間違いを犯した。怖い怖い怖い怖い。僕は敵うわけがない。ああお許しください、僕はそれに背くだけの、歯向かうだけの力などありはしない、

僕は罪人になろう。恐ろしい存在に立ち向かうのならば、それくらいなら僕は、一二三さんに従うべきである。なぜならそれが世の摂理。ああ僕はいったいなんという大罪を――