「風間家には一二三さんのお母さん……言ってしまえば、ボクらのずっと先輩がいるのに、彼女から目立った教示は受けなかったんだろ? あくまで事実の説明ばかり。瞳の魔力を解放するなら、もっと手っ取り早くあの家で学べるはずだよ。わざわざボクの捜索まで手伝わせるなんて遠回りな方法、妙だ」

「あ、でもそれは、」

「ボクの捜索を手伝わせることで開眼を助長させる寸法だったって言うのかい? だとしても、君、その手伝いをして自分の能力をより明確にできると思う?」

「……」

自信は、ない。できるのだろうか。

夜空に小さく響く笑声も、まるで、当ててごらんとでも言っているかのよう。

「おかしな点はほかにもある。賢一にはつらい事実だろうけど、ボクら人外が人間を食べることは、なかば自然の摂理なんだ。だから問題視はされない。教会も了承してる、自然現象の一環だよ。

だけど、その自然現象を、一二三さんは賢一と一緒に狩り出そうとした。ということは、つまり――」

「……つまり……?」

幹の腰が若干、低くなる。それは、臨戦態勢というヤツだろうか。