目を背けたいはずなのに、脳髄を魅了する赤。

その中には、ムシでも湧いているように細切れの肉片が混じっている。

醜い醜い、そしてなんと魅力的な私の吐瀉物。

顔をあげれば、水臭いこの路地裏に、鼻を突いている激臭より儚く、己の所業が転がっていた。

いや、過去形にするのはまだ早い。『こと』は、現在進行形だ。

その証拠に、転がっているそれはまだ、息の根があるせいか、びくりびくりと震えている。

そう、まだ、生きていやがる。

「うう、うおぅぅ……ぇ。え、――っ……」

大量の虫が腸内から這い上がってくるような気持ち悪さが、胸奥から喉元、喉元から口の中へ込み上げ――

また、吐き戻す。



ばり……ぶつ……じゅる……



それでも、やめることはできない。